熊本の震災が発生し、早 2ヶ月が経過しました。過去の震災の経験を活かし、速やかな復旧が期待 されます。今回の震災も多方面に渡り大きな影響を与えました。私達住宅業界にも新たな変革の機会と なることでしょう。国の耐震基準は 1981 年の「新耐震基準」と、阪神淡路大震災を経て 2000 年に大 きな改正がされています。2000 年以降は地盤調査が必要となり構造の強化が更に求められるようにな りました。しかし、今回起こった熊本の震災では新耐震基準以降の建物や 2000 年以降の基準の建物に おいても倒壊・半壊が多数発生しています。国や専門家により調査を進め、更なる基準の見直しが今後 必要になってくることでしょう。
日本の住宅の在り方とは
さて、昨今の国の住宅政策では、断熱や省エネを中心とした低炭素化住宅を進めています。環境対 策や持続的発展が可能な世の中にしていくためには低炭素住宅のようなハイスペックなストックを増やし ていく必要があることは間違いないのです。しかし、住宅に対する基準はそれだけで良いのでしょうか? 木造住宅を中心とした現在の住宅は日本全国で耐久性能の悪さを露呈しています。外装リフォームに従事 する私たちは当たり前のようにそれを理解していますが、事実として脆弱で著しく劣化の進んだ屋根材・ 外壁材に日常茶飯事に対面しています。 築後たった 10 年で劣化する建材でよいのでしょうか?また、築後 20 年で交換しなければいけなくなる屋 根材・外壁材に自分の家の保護を託せますか? 昨年、北海道 札幌の住宅地へ視察に出掛けました。そこは私が想像する以上の状況でした。現在の日 本の住宅の約70%は窯業系サイディングボードを使用していますが、その窯業系サイディングボードの劣 化要因は大きく分けて3つあります。一つ目は紫外線による外面の塗膜の劣化によって起きる防水性の低 下。二つ目は内部の通気の諸問題から起きる湿気による劣化。三つ目は含水した雨水や湿気の凍結等に よる基材の爆裂やダメージ(凍害)。以上の要因を加味しても寒冷地での窯業系サイディングボードは短 期間で劣化が進むので、外壁材の未来を予見するための有益な情報となります。極寒の寒冷地である札 幌、中でも私が視察した地域では既に80%の住宅に金属サイディングが施工されていました。新築時か ら施工してあるケースも見受けられましたが、過半数がリフォーム時に施工されたカバー工法でした。私 が住む寒冷地・北陸の富山県よりも更に住宅のオールメタル化が進んでいたのです。もちろん、金属ルー フや金属サイディングが万能な訳ではありませんが、住宅を 60 年維持することを目的とすれば耐久性能 は窯業系サイディングボードを大きく上回っていることは言うまでもありません。
外装の耐久性能を高めることが必要
屋根材・外壁材など全ての建材の高耐久基準の見直しも今後必要となってくることでしょう。商品化し て市場に流通させ住宅に施工される以上は、外装建材も性能評価制度に盛り込めるように具体的な耐久 性能認定が必要であると強く思います。日本の住宅の耐久性を高め、資産価値を高めるためには耐震性 能に目を向けるばかりではなく、外装の耐久性能を高めることが同様に必要であることをガイソーグルー プとして強く発信していきたいと考えます。何も知らずに不利益を被るのは全て消費者なのです。